ディサースリア(dysarthria)、運動障害性構音障害
脳血管障害や頭部外傷、神経・筋の疾患などで、話しをするときに使う唇、舌、喉などに運動障害が起こり、正常な発音を作ることが難しくなる障害です。私たちは話すときに会話に必要な呼吸、呼吸のコントロール、声の大きさや高低の調節、口唇・舌・下顎を正確に使いこなすなど、多種類の器官が共同作業をして発音しています。
呼吸が障害されると
慢性閉塞性肺疾患などの肺の病気や肺周囲の骨格筋の動きの制限などが起こると、肺に空気がしっかり入りにくくなるため、声が小さくなってしまいます。また会話中に息が途切れ途切れになってしまい、疲労がみられる方もいらっしゃいます。
少し姿勢が悪くなるだけでも、肺に空気が入らなくなります。できるだけ姿勢を整えてお話しするようにしましょう。食事の時も同様です。
呼吸や話す機能が障害される病気
パーキンソン病
パーキンソン病の方は、ご自身ではわかりにくいのですが、声が小さくなる方が多くいらっしゃいます。パーキンソン病と診断されてからなるべく早めに(ヤール分類1~2)言語リハを開始されることをおすすめします。当院ではパーキンソン病に特化した言語訓練である「LSVT(Lee Silverman Voice Treatment)」を受けることが可能です。ハードなトレーニングになりますが、興味のある方はご相談ください。
また、パーキンソン病の方は嚥下障害も併発します。日常生活に声と喉を鍛えるリハビリテーションを取り入れられるよう、工夫をしていきましょう。
脳血管障害の後遺症、脊髄小脳変性症など
ろれつが回らない、話しをすると何度も聞き返される、などの訴えがよく聞かれます。脳血管障害などで舌や口唇の動きが低下しているのにもかかわらず、病前と同じスピードで、お話しをしてしまうケースを多くみかけます。会話しているときは、内容に気を取られやすく、話しをするスピードや話し方まで気を配りにくいものです。様々な工夫をして、より良いコミュニケーションの方法を考えていきましょう。
声帯自体の障害(音声障害)
声帯とは、声を出す音源装置のことをいいます。私たちは、肺から上がってくる空気を調節しながら、声帯が振動、のどや様々な器官を共鳴させ、舌や唇、顎を使って言葉を産生しています。声帯の振動自体が障害されると、声そのものを作り出すことが難しくなることがあります。
加齢にともなって声帯が委縮したり、病気により声帯自体の動きが悪くなると、話し声がいつも、ささやくような声やガラガラ声になってしまいます。手術の適応となる疾患もありますが、リハビリテーションで対応できるケースもありますので一度ご相談ください。
言語リハビリテーションでは、話すときに必要な呼吸機能や、唇や舌といった発語器官の運動の評価を行い、その結果に基づいたリハビリテーションを行いながら機能改善を目指していきます。また、ゆっくりと話してもらう、言いづらい言葉を言い換えてもらうなどといった聞き手に伝わりやすい話し方の練習なども提案していきます。